開発に便利なツール – DesktopRuler
完璧なデスクトップ定規などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね
ダウンロード:DesktopRuler
※インストールおよび実行にはAIRランタイムが必要となります。
「DesktopRulerの話が聞きたいわ」
個性的な寝癖がチャーミングな彼女は僕にそう言った。僕は彼女がDesktopRulerについて聞く理由を考えたが、何故かわからなかった。 ためしにその質問を頭の中で3回ほど繰り返してみたが、やはりわからなかった。
「DesktopRulerの話は誰も好きになってくれないようなタイプの話なんだ。それに正確な情報なら、Adobe Marketplaceにのっている」
「いいから話してみて。あなたから聞いてみたいわ」
「Adobe AIR作られたデスクトップアプリケーション。デスクトップ上にあるさまざまなものの長さ(px)を測る。 その名の通り起動するとデスクトップ上に定規が現れ、ボタン一つで縦横の切り替えもできる。AIRで作られたアプリはほかにもたくさんあるが、 このアプリは本当に長さを測るだけのものなんだ。退屈そうなアプリだと思わないか?」
「面白そうだわ」
「類似するアプリにピクセル定規というものがあるが、こちらは最大1000pxまでしか測れないし、メモリを目で見て数えるしかサイズを知る方法がない。 Windows7 64bit環境では初回起動時に不自然な塗りの領域が表示されてしまい、正式対応していないままみたいだ」
「ねぇ、あなたはいつもそれを使ってデザインイメージ画像にあるボタンのサイズを測っているわけ?」
彼女が尋ねる。
そして付け加える。
「でもそれって結局のところ、デザイナーに訊けば済むものじゃない?」
「そうかな?そうかもしれない。でも、それでも僕は自分でDesktopRulerを使って各コンポーネントのサイズを測るのは、良い方法だと思うんだ。たとえ眠くて辛くても」
「つまりはこういうことだ。僕らはそうやって、この世界とどうにか折り合いをつけながら、生きていかなければならない。 それは、あまりにも明白で、ややこしい場所に僕を運びこもうとするメタファーだ」
「まるであなたの横顔を見ているぐらい退屈で陰鬱な作業よ。」
「さあ? 僕にはよくわからない。確実に言えることは、あまりに少なすぎるんだ」
「でも確実に言えることが一つだけあるわ」
「なんだい?」
「今夜、あなたは私を抱いたということ」
彼女は、身体を起こして僕のほうを見た。
「もう一度、抱いてくれる?」
参考・引用文献 村上春樹『ノルウェイの森』他